繊維筋痛症への対処と鍼灸治療の考え方
さまざまな全身症状が現れる「繊維筋痛症(せんいきんつうしょう)」
繊維筋痛症は、一般的な検査で異常がみられないことが多く、治療に時間を要することがある疾患です。
このように、体のバランスや神経の働きが乱れた状態が関与すると考えられる症状に対して、鍼灸が有用なケースがあります。
今回は繊維筋痛症への対処方法と鍼灸の考え方についてご紹介いたします。
繊維筋痛症とは
3か月以上続く、全身の痛みや強い疲労感を特徴とする疾患です。
20代~60代の女性に多くみられ、血液検査や画像検査では異常が確認されにくいことから、診断に時間がかかるケースも少なくありません。
生命に直接関わる疾患ではありませんが、日常生活の質(QOL)や日常生活動作(ADL)に大きな影響を及ぼすことがあります。
症状
全身に広がる筋肉痛や関節痛が代表的な症状です。
痛みの部位や強さは一定ではなく、日によって変動したり、天候や気圧の変化によって影響を受けることもあります。
また、不眠や強い倦怠感、気分の落ち込みなど、自律神経や精神面の不調を伴うケースもみられます。
原因
現時点では明確な原因は解明されていません。
筋肉や関節そのものに大きな損傷がないにもかかわらず痛みが生じることから、脳や神経系における「痛みの感じ方」に変化が起きている可能性が指摘されています。
睡眠不足や精神的ストレスなど、心身への負担が重なることで症状が強く現れる傾向があります。
治療方法
現段階で、繊維筋痛症を根本的に治す治療法は確立されていません。
痛みを和らげる目的で神経疼痛緩和薬(プレガバリン)や、 抗うつ薬(アミノトリプタン)が用いられることがあります。
症状が多岐にわたるため、診療科の選択に迷われる方も少なくありませんが、薬物療法に加えて運動療法や認知行動療法などが組み合わされることもあります。
検査では異常がみられないものの症状が続く場合、補助的な選択肢として鍼灸が検討されることがあります。
鍼灸の効果
鍼灸は、痛みや不調を一つひとつ丁寧に評価しながら対応できる点が特徴です。
鍼灸刺激は皮膚や筋肉を介して神経系に作用し、痛みを和らげる方向に働くと考えられています。
繊維筋痛症の診断で用いられる圧痛点は、鍼灸臨床で日常的に扱う筋肉や関節周囲と重なる部位も多くみられます。
不眠や倦怠感などの付随症状も含め、全身状態を整えることを目的として用いることが理想的です。
施術を検討する目安
繊維筋痛症が疑われる場合や、強い痛みや体調不良が続く場合には、まず医療機関での検査と診断が重要です。
検査では明らかな異常がみられないものの、全身の痛みや倦怠感、不眠などが続いている場合には、体調を整える方法の一つとして鍼灸を検討する目安となります。
症状の経過や体調の変化を踏まえながら、無理のない範囲で選択することが大切です。
当室の考え方
当室では、医療機関での診断や治療を基本としたうえで、鍼灸が適しているかを慎重に判断しています。
鍼灸を単独で用いるのではなく、痛みや不調を和らげ、日常生活を送りやすくするための補助的な関わりとして位置づけています。
この記事の著者

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鍼灸は体の調整機能に働きかける療法ですが、
すべての症状に適しているわけではありません。
当室では、症状の背景や経過を確認したうえで鍼灸の適応を判断し、
その方にとって無理のない選択をご提案いたします。
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