肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)への対処と鍼灸治療の効果
眠っている時にも肩が痛み、腕が挙がらなくなる「肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)」
五十肩は肩関節内で炎症が起こることで痛み、炎症の状態によって対処方法が異なります。
主な対処方法は安静(保存療法)で、鍼灸を併用することでスムーズな回復につながります。
今回はそんな五十肩について綴らせていただきました。
肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)とは
五十肩は肩関節周囲炎と呼び、関節包という組織で炎症が起きた状態です。
関節包の炎症はレントゲンには写らないため、エコーやMRIで確認することが可能です。
肩関節内の炎症による痛みによって、可動域が制限されることから「凍結肩」とも呼ばれています。
炎症を悪化させない程度に動かして、筋肉や関節が固まらないようにケアすることが大切になります。
症状
肩の痛みと可動域制限です。
痛みは、違和感から徐々に増す場合もあれば、突然激しく痛む場合もあります。
炎症の痛みを庇うことで筋肉が硬くなるため、可動域制限が長期間続く傾向がみられます。
五十肩は、「炎症期」と「拘縮期」を経て回復していき、それぞれの期間や症状には個人差があります。
炎症期
関節内で炎症が起こっており、夜間睡眠時に眠れない方もいるほど激しく痛む時期です。
痛みを堪えて動かすと炎症が悪化するため、炎症が落ち着くまでは激しい動作は控える必要があります。
しかし全く動かさないと肩関節が固まって拘縮期からの回復に時間を要するので、痛みのでない範囲で動かすことをオススメします。
拘縮期
炎症が落ち着いて、関節の固さが気になる時期です。
安静時の痛みは和らぎますが、関節が硬く、腕を挙げる動作に不自由さを感じます。
炎症を再燃させないように注意しながら、可動域が出るように運動していく必要があります。
運動は水中で行うと肩の重さが約1/9程に軽減されて負担が少ないので、プールやお風呂内でのリハビリがオススメです。
原因
原因は不明です。
打撲やムチ打ちなどの外傷、筋肉や靭帯の衰え(変性)、糖尿病などが関わっていると考えられます。
しかし筋肉の障害の中には、棘上筋症候群(インピンジメント症候群)のような部分的な筋肉が原因となって肩の痛みが現れるケースもあります。
五十肩の場合には肩全体に痛みや可動域制限が現れ、インピンジメント症候群の場合には腕を水平に上げた時にのみ痛む、といった違いがみられるので注意が必要です。
『インピンジメント症候群に関する詳細はこちら』
治療方法
炎症期は安静と薬物療法、拘縮期は運動療法が中心になります。
炎症期は炎症を抑えて痛みを落ち着かせることを優先に、拘縮期に炎症が落ち着いて硬くなった関節をしっかりと動かしていきます。
状態によっては、炎効果や軟骨保護効果のある「ヒアルロン酸注射」や、関節包を切る「外科的療法(関節鏡視下関節授動術)」も検討されます。
また、疼痛や筋緊張の緩和に鍼灸の併用もオススメです。
鍼灸の効果
鍼灸には神経の興奮を抑えて、筋肉の緊張を緩和する効果があります。
炎症周囲の筋肉は攣縮(れんしゅく)と短縮(たんしゅく)を起こし、硬く短い状態になっています。
また「痛みを感知する神経」や「運動に関与する神経」の働きが低下すると、「痛みを感じやすい状態」や「力を上手く伝えられない状態」になってしまいます。
鍼灸で筋肉と神経を整えることは、痛みのコントロールや関節可動域の拡大に効果的です。
炎症期と拘縮期に適正な施術をすることでスムーズな回復のお手伝いができるため、薬物療法や運動療法と鍼灸の併用をオススメします。
肩の痛みが続く場合には
肩関節周囲炎は早期発見と適切な対処が重要です。
五十肩はエコーやMRIで確認する必要があるため、整形外科の受診をご検討ください。
また、神経や筋肉の働きを整えて早期回復につながる鍼灸の併用もオススメです。
この記事の著者

-
「白金のかかりつけ鍼灸師」を目指し、日々鍼灸に励んでおります。
鍼灸は多くの症状改善に効果が期待できる一方で、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先する場合もあります。
当室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。
この著者の最新記事一覧
感覚器系2025年12月18日寒冷蕁麻疹(かんれいじんましん)への対処と鍼灸治療の効果
運動器系2025年12月6日繊維筋痛症への対処と鍼灸治療の効果
呼吸器系2025年12月2日喉のつかえ感(梅核気)への対処と鍼灸治療の効果
運動器系2025年11月27日インピンジメント症候群への対処と鍼灸治療の効果
当室で施術対象の症状・疾患に関する記事
アクセス
東京都港区白金3-9-16 マロン白金3A
東京メトロ
白金高輪駅(4番出口)より 徒歩6分
白金台駅(2番出口)より 徒歩9分
都営バス
渋谷-新橋(赤羽橋)「四の橋」より徒歩3分
渋谷-田町「三光坂下」より徒歩3分




鍼灸師のコメント
五十肩の名前の由来
江戸時代の俗語集「俚言集覧(りげんしゅうらん)」の一文
「凡、人五十歳ばかりの時、手腕、骨節痛むことあり、程過ぐれば薬せずして癒えるものなり、俗にこれを五十腕とも五十肩ともいう。また長命病という。」から五十肩の名称が来ています。