女性の更年期障害への対処と鍼灸治療の効果
ホルモンの量が低下することで起こる「更年期障害」
更年期障害は心身どちらの症状も現れ、ホルモン補充療法が主な治療方法になります。
また、薬物療法に併せ自律神経を整える鍼灸も効果的です。
今回はそんな女性の更年期障害について綴らせていただきました。
女性の更年期障害
女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が減少することで心身に症状が現れます。
閉経時期を挟んだ前後10年間が更年期といわれ、閉経前後の2年間がピークとなり、閉経後には症状が安定する傾向がみられます。
閉経は月経が12ヶ月間来ない状態を指し、婦人科でホルモン数値を計測することでも判断が可能です。
エストロゲンと性腺刺激ホルモとの数値を測定し、E2:10pg/ml以下、FSH:40mu/ml以上の場合には閉経と診断されます。
また、更年期障害は女性特有のものではなく、男性にもみられ減少するホルモンの種類が異なります。
『男性更年期障害の詳細はこちら』
女性ホルモン「エストロゲン」
エストロゲンには、閉経後メインのE1(エストロン)、閉経前にメインのE2(エストラジオール)、E1とE2から変換される作用の弱いE3(エストリオール)の3種類があります。
これら3種類のエストロゲンが安定した状態を保つことで「心身を安定させるセロトニン」や「意欲に関わるドーパミン」、「やる気を促すノルアドレナリン」という神経伝達物質も安定します。
そのため、エストロゲンが減少すると神経伝達物質の乱れにつながり、意欲低下などの症状が現れます。
症状
イライラや不安感、冷え・のぼせが代表的な症状です。
「神経伝達物質の乱れによる意欲低下」や「血管運動神経の障害によるホットフラッシュや頭痛」など、精神的な症状と身体的な症状のどちらもあり、同時に現れるケースもあります。
気分の落ち込みや冷えにより、不眠症状に悩まされる方も多く、悪循環が起こりやすいのも特徴です。
更年期障害と似たものに、バセドウ病による異常発汗、橋本病による気分の落ち込みなど、別の疾患が原因の場合もありますので、症状が続く場合には婦人科の受診からご検討ください。
原因
卵巣から分泌されるホルモン「エストロゲン」の低下が主な原因です。
エストロゲンの分泌量が低下すると、体内のホルモン量を監視している脳(視床下部)はホルモンが足りていないと判断して、卵巣にエストロゲンをもっと分泌するように指示を出します。
この「エストロゲンを分泌せよ」という指令もホルモンによって伝達しているため、指令を伝えるホルモンは過剰になり、分泌が減っているホルモンは増えることがないため、ホルモンバランスは乱れる一方になります。
また、ホルモンは「血流」に乗って運ばれているため、卵巣からのエストロゲン分泌低下の他にも、自律神経や血流悪化もホルモンバランスの乱れに関与します。
空の巣症候群にも注意
子供の進学や就職を機に、目標や役割を喪失することで張り合いを無くし、心身に不調が現れることを「空の巣症候群」と呼びます。
更年期と時期が重なりやすいため、更年期障害と重複した原因になっている場合もあります。
治療方法
向精神薬やホルモン補充療法が中心になります。
向精神薬
抗不安薬や催眠鎮静薬が用いられます。
副作用が少なくホットフラッシュに有効な「セロトニンやノルアドレナリンの再取り込みを阻害する薬(SNRI)」が処方されるケースも多くあります。
ホルモン補充療法(HRT)
エストロゲンを補う治療法です。
ホルモン補充療法はホットフラッシュや発汗といった血管の拡張と放熱に関与する症状に対して特に効果的とされております。
HRTは約2ヶ月でホットフラッシュなどの改善がみられる効果的な反面、乳がんや子宮がんの病気進行や再発リスクがあるので注意が必要です。
そのため、更年期初期の方やガン再発リスクのある方には鍼灸をオススメします。
鍼灸の効果
鍼灸は自律神経や血流を整えることで、ホルモンバランスを安定させる効果が期待できます。
筋緊張の緩和や皮膚への刺激は脳(視床下部)に影響を与えてホルモンバランスを整え、血流を改善することでホルモンの巡りを改善します。
また、脳内のβエンドルフィンという神経ペプチド「脳内麻薬物質」の分泌を活性化させてリラクセーション効果を促すため、精神的な症状の緩和にも適しています。
副作用も少なく、安心安全に取り組むことができますので、更年期症状を感じ始めた方やホルモン補充療法を行えない方にオススメです。
更年期障害が疑われる場合には
更年期障害はホルモンバランスの乱れによって起こります。
ホルモンバランスの乱れは加齢やストレスの他、子宮内膜症、卵巣嚢腫といった婦人科系の疾患や悪性腫瘍が原因でも起こりますので、まずは婦人科の受診をご検討ください。
また、お身体の状態を整えて各症状を緩和できる鍼灸の併用もオススメです。
この記事の著者

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「白金のかかりつけ鍼灸師」を目指し、日々鍼灸に励んでおります。
鍼灸は多くの症状改善に効果が期待できる一方で、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先する場合もあります。
当室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。
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鍼灸師のコメント
そもそもホルモンとは
血液中に分泌される情報を伝達する物質です。
代謝やストレス応答など、身体の状態を一定に保つ働きをしています。
体内には100種類以上ものホルモンが存在し、常に身体を外部環境へ適応させています。