打撲への対処と鍼灸治療の考え方

転倒や衝突によって起こる怪我「打撲」

外傷の直後はRICE処置と呼ばれる応急対応が基本となります。

また、回復が長引く場合には、鍼灸を取り入れることで回復の一助になります。

今回は打撲への対処方法と鍼灸の考え方についてご紹介いたします。

打撲とは

打撲とは、転倒や衝突などによって生じる、皮膚に傷を伴わない軟部組織の損傷を指します

主に皮下組織や筋肉が損傷されるため、体のあらゆる部位で起こります。

一般的には「打ち身」と呼ばれることもあり、軽症の場合は数日から1週間程度で自然に軽快します。

一方で、損傷が深部に及ぶ場合には腫れや内出血が強く現れ、回復までに数週間以上を要することもあります。

また、頭部・腹部・骨盤周囲などの打撲では、内部臓器の損傷を伴う可能性もあるため注意が必要です。

症状

症状は主に血管や神経の損傷、筋組織の炎症です

血管が損傷すると内出血や腫脹がみられ、炎症反応が強い場合には熱感や圧痛を伴います。

腫れが強くなることで周囲の神経が圧迫され、痛みや違和感、動かしにくさを感じることもあります。

通常は時間の経過とともに改善していきますが、痛みが増す場合や症状が広がる場合には医療機関での評価が必要です。

対処方法

打撲の直後は、RICE処置が基本となります

RICE処置とは、安静・冷却・圧迫・挙上を組み合わせた応急対応で、整形外科やスポーツ現場でも広く用いられています。

ぶつけていない側と比べて熱感が落ち着くまでは、RICE処置を継続してください。

Rest(安静)

患部を無理に動かさず、負荷をかけないようにします。

動かし続けることで、周囲の組織や血管への負担が増す可能性があります。

Icing(冷却)

炎症を抑える目的で患部を冷やします。

冷却材を直接長時間当て続けると凍傷の恐れがあるため注意が必要です。

冷却は感覚が鈍くなるまで行い、適度に休憩を挟みながら繰り返してください。

Compression(圧迫)

包帯やサポーターで軽く圧迫することで腫れを抑えます。

痺れや皮膚の色調変化が出た場合は、圧迫を緩めてください。

Elevation(挙上)

患部を心臓より高い位置に保つことで、腫脹の軽減が期待できます。

鍼灸の考え方

鍼灸には、血流環境を整え、周囲筋の緊張を緩和する作用があります

血液循環の改善は、内出血後の違和感や張り感が残るケースに有用です。

また、患部をかばうことで生じた二次的な筋緊張を整えることで、動かしやすさの回復につながります。

施術を検討する目安

打撲は時間の経過とともに自然に回復するため、すべての打撲に鍼灸が必要になるわけではありません。

しかし、患部の熱感が落ち着いた後も、

  • レントゲン等で骨折が否定されているが違和感が残る
  • 腫れや痛みが数週間以上続いている
  • 回復後もつっぱり感や重だるさが続いている

といった状態が続く場合には、鍼灸を検討する目安になります。

当室の考え方

腫れや熱感がある、痛みが増している場合には、医療機関での評価が優先されます。

当室では、受傷直後の状態や経過を確認したうえで、鍼灸が役立つ可能性のある段階かどうかを判断して鍼灸を行なっています。

この記事の著者

中島 裕(Nakajima Yutaka)
中島 裕(Nakajima Yutaka)
鍼灸は体の調整機能に働きかける療法ですが、
すべての症状に適しているわけではありません。

当室では、症状の背景や経過を確認したうえで鍼灸の適応を判断し、
その方にとって無理のない選択をご提案いたします。

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