鬱病(大うつ病)への対処と鍼灸治療の効果

気分の落ち込みが長い間続く「鬱病(大うつ病)」。

鬱病はストレスや脳内の神経伝達物質の乱れなどの要因が重なって起こる病気です。

改善には休養や薬物療法の他、鍼灸で心と身体の状態を整えることも効果的です。

今回はそんな鬱病について綴らせていただきました。

鬱病とは

気分の落ち込みが2週間以上続くような場合に鬱病の可能性が考えられます。

一生のうちに鬱病に罹る確率(生涯有病率)は6.7%あり、現在も右肩上がりに増加している病気です。

精神的な問題として認識されがちですが、脳から分泌される「幸せホルモンの分泌低下」や「ストレスホルモンの過剰」が意欲や行動の低下を招いており、身体の病気として捉える必要があります。

鬱病は良くなったり悪くなったりを繰り返して回復していくため、継続的な治療が大切です。

症状

2週間以上続く抑うつ気分が代表的な症状です。

アメリカの精神医学会診断基準(DSM-5)では、下記9つの症状のうち5つ以上の症状が2週間ほぼ毎日みられた場合に、鬱病(大うつ病)と診断されます。

  • 1.抑うつ気分
  • 2.興味や喜びの消失
  • 3.食欲の減退または増加
  • 4.不眠または過眠
  • 5.落ち着きがなくなる、または動きや反応が遅くなる
  • 6.疲労感や倦怠感
  • 7.無価値感(自らを責めてしまう)
  • 8.思考力や集中力の低下
  • 9.死についての反復思考

鬱病は「死についての反復思考」が主症状の1つにありますので、自己判断ではなく精神科や心療内科の受診をご検討ください。

原因

遺伝、性格、社会環境など、さまざまな要因が重なって起こります

過度なストレスや長期的なストレスが引き金になりやすく、幸せホルモン(セロトニン)の減少やストレスホルモン(コルチゾル)の増加が心身のバランスを乱していると考えられています。

そのため真面目で几帳面な方、責任感の強い方は特に注意が必要です。

また、降圧薬(β遮断薬)などの薬によって起こる場合や、パーキンソン病などの病気に起因するケースもありますので、薬を服用中の方は主治医の先生とのご相談からはじめてください。

鍼灸師のコメント

ストレスで鬱になる理由

人はストレスを感じると、攻撃行動や恐怖反応をコントロールしている脳(扁桃体)の活動が高まり、抗ストレスホルモン(コルチゾル)を分泌してストレスへ対応できる状態にしています。

一時的なストレスであれば問題ありませんがストレスが強すぎる場合や長期間に渡ってしまうと、抗ストレスホルモンが過剰に分泌されて神経を栄養する因子(BDNF)を減らしてしまい、脳神経の細胞を萎縮させて意欲や行動の低下が起こります。

治療方法

休養と薬物療法が中心です。

「抗うつ薬」や「抗不安薬」などの薬物療法が主流ですが、症状が慢性的な場合には認知行動療法を併用するケースもあるようです。

回復の一般的な目安は3〜6ヶ月ですが、鬱病は良くなったり悪くなったりを繰り返して回復していくため、症状が安定していても服薬は半年〜1年間継続的に行う必要があります。

また抑うつ気分の他に、倦怠感や睡眠障害の現れている方には鍼灸もオススメです。

鍼灸の効果

鍼灸は自律神経やホルモンバランスを整える働きがあります

自律神経やホルモンバランスを整えることは、脳や神経系の働きを高めるだけでなく、手足の冷えや倦怠感の改善にもつながり、睡眠障害や気分障害などの心身症状の回復に期待ができます。

『自律神経に関する詳細はこちら

実際に、鬱病患者の脳内(左前頭葉と扁桃体)で脳血流の変化が観察されたという報告や、鬱病や不安症状が大幅に軽減されて鍼治療終了後も効果が2ヶ月持続するといった報告もされております。

東洋医学では鬱病という病名の無い時代から、鬱病と同様の症状に鍼灸が用いられてきた歴史もあり、薬とは違う形で心と身体のバランスを整えて回復を支えるお手伝いが可能です。

もしも気分が塞ぎ込んでしまったら

抑うつ気分が続く場合には精神科や心療内科の受診をご検討ください。

病院以外に治療方法を探している場合には、鍼灸をオススメします。

心や身体の辛さが続いているようでしたら、お一人で抱え込まずにお気軽にご相談ください。

この記事の著者

中島 裕(Nakajima Yutaka)
中島 裕(Nakajima Yutaka)
「白金のかかりつけ鍼灸師」を目指し、日々鍼灸に励んでおります。

鍼灸は多くの症状改善に効果が期待できる一方で、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先する場合もあります。

当室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。

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