顎関節症への対処と鍼灸治療の考え方
口を大きく開けられない、硬い物が食べにくいといった症状がみられる「顎関節症」
顎関節症は、関節包や靱帯、咀嚼筋の緊張など、さまざまな要因が関与して起こります。
まずは顎関節や筋肉への負担を減らすことが優先されますが、咀嚼筋の緊張が強く関与している場合には、鍼灸が症状緩和の一助となることがあります。
今回は顎関節症への対処方法と鍼灸の考え方についてご紹介いたします。
顎関節症とは
顎関節やその周囲組織に異常が生じ、痛みや開口障害、関節音などが現れる状態の総称です。
関節構造・筋肉の緊張・生活習慣などが複合的に関与しているケースが多いのが特徴です。
顎関節症の分類
顎関節症は、症状や原因の違いにより、以下のように分類されます。
- Ⅰ型:咀嚼筋障害(筋肉の緊張が主因)
- Ⅱ型:関節包・靱帯障害(外傷などによる炎症)
- Ⅲ型:関節円板障害(クリック音や開口障害)
なかでも、咀嚼筋の緊張が関与するⅠ型や、筋緊張を伴うⅢ型が多くみられます。
症状
主な症状は顎関節痛、開口障害、関節雑音です。
顎関節痛
口を開ける、噛むといった動作時に痛みが現れます。
開口障害
口が途中までしか開かない、大きく開けられない状態です。
指1本分ほどしか開かないこともありますが、完全に閉じたままになることはほとんどありません。
関節雑音
パキッとしたクリック音や、ギシギシとした摩擦音が生じることがあります。
音のみで痛みを伴わないケースもありますが、痛みが強い場合には注意が必要です。
原因
原因として多いのは、咀嚼筋の過緊張や使い過ぎです。
歯を無意識に接触させる癖(TCH)、ストレス、姿勢不良などにより、咀嚼筋が持続的に緊張すると、筋肉の柔軟性が低下し痛みが生じやすくなります。
また、噛み合わせや顎関節の構造的特徴、外傷などが関与する場合もあり、原因の特定には歯科・口腔外科での評価が重要になります。
治療方法
顎関節症の治療は、保存的な対応が基本となります。
鎮痛薬の使用、マウスピース(スプリント)による負担軽減、顎を安静に保つことなどが行われます。
噛み合わせ調整や外科的治療は、他の方法で改善が得られない場合に検討されます。
また、筋肉の緊張が関与している場合には、筋緊張を和らげるためのアプローチが重要になります。
鍼灸の効果
鍼灸には、咀嚼筋の緊張を緩和し、血流を整える作用があります。
顎関節症では、口を開ける際に閉口筋(咬筋・側頭筋など)が十分に緩まず、筋肉が引き伸ばされることで痛みが生じるケースが少なくありません。
特に、運動時に痛みが出るタイプや、下顎・こめかみ周囲の違和感が強い場合には、咀嚼筋の過緊張を軽減するのに鍼灸が有用です。
施術を検討する目安
歯科・口腔外科を受診したうえで、
- 検査で大きな関節異常がみられない
- 口の開閉時に筋肉の張りや疲労感が強い
- 安静やマウスピースを使用しても違和感が残る
このような場合には、鍼灸を検討する目安となります。
当室の考え方
顎関節症は、関節・筋肉・生活習慣が複雑に関与する症状です。
当室では、筋緊張や体のバランスを整えて、顎関節への負担を軽減することを目的に鍼灸を行なっています。
この記事の著者

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鍼灸は体の調整機能に働きかける療法ですが、
すべての症状に適しているわけではありません。
当室では、症状の背景や経過を確認したうえで鍼灸の適応を判断し、
その方にとって無理のない選択をご提案いたします。
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