インピンジメント症候群への対処と鍼灸治療の考え方
肩を水平に上げていく途中で、一定の角度に痛みが現れる「インピンジメント症候群」
肩の使い過ぎや筋力低下などが関与し、腱に炎症が生じることで症状が現れます。
安静が大切で、鍼灸で筋緊張の緩和や血流を整えることも回復の一助になります。
今回はインピンジメント症候群への対処方法と鍼灸の考え方についてご紹介いたします。
インピンジメント症候群とは
肩の骨と腱板(特に棘上筋腱)が干渉し、炎症や痛みが生じる状態を指します。
肩関節は可動域が広く、腱板(ローテーターカフ)が上腕骨を安定させることで滑らかな動きを保っています。
しかし、加齢による変性や使い過ぎ、筋力低下などにより、肩峰と腱板の間のスペースが狭くなると、挟み込み(インピンジメント)が起こりやすくなります。
特に棘上筋は構造的に負担がかかりやすく、進行すると腱板損傷へ移行することもあるため、早期評価が重要です。
症状
腕を横に広げる動き(外転)をした際に、特定の角度で生じる痛みが特徴です。
一般的に60〜120度付近で痛みが出やすく、さらに挙上すると一時的に軽減する「ペインフルアーク」がみられることがあります。
夜間痛を伴う場合や安静時痛がある場合は腱板損傷の可能性も考えられるため注意が必要です。
全方向に可動域制限がみられる五十肩(凍結肩)とは経過や病態が異なることが多く、鑑別が重要になります。
『五十肩にについてはこちらの記事で詳しく解説しています』
原因
腱板への反復負荷や筋力低下、姿勢不良などが関与します。
加齢による腱の変性、肩甲骨の可動性低下、胸郭の硬さなども影響します。
日常生活では洗濯物を干す、棚の上の物を取るといった動作が負担になることがあります。
治療方法
整形外科での評価と保存療法が基本になります。
炎症が強い場合は消炎鎮痛薬や注射療法が検討されることもあります。
理学療法による肩甲骨周囲筋の調整や腱板トレーニングも重要です。
腱板断裂や骨棘形成が確認された場合には、外科的療法が検討されるケースもあります。
鍼灸の効果
鍼灸には、筋緊張の緩和や血流改善を通じて疼痛を軽減する作用があります。
肩周囲筋の過緊張が続くと関節内圧が高まり、腱板への負担が増すだけでなく、血流悪化や神経の過敏性を向上させることで、痛みを感じやすい状態になります。
そのため、鍼灸で筋肉の状態や血液循環の環境を整えることは、痛みの緩和や回復の一助になります。
施術を検討する目安
画像検査で完全断裂が否定されているのを確認した後に、
- 強い炎症が落ち着き、運動療法を開始できる段階にある
- 筋緊張や姿勢の影響が考えられる
このような場合には、鍼灸を検討する目安になります。
当室の考え方
インピンジメント症候群は、まず整形外科での評価を受け、損傷の程度を把握することが優先されます。
当室では、回復期における筋緊張の調整やバランスの見直しといった目的に鍼灸を行なっています。
この記事の著者

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鍼灸は体の調整機能に働きかける療法ですが、
すべての症状に適しているわけではありません。
当室では、症状の背景や経過を確認したうえで鍼灸の適応を判断し、
その方にとって無理のない選択をご提案いたします。
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