花粉症(アレルギー性鼻炎)への対処と鍼灸治療の効果

春になると増加する、くしゃみ・鼻水・鼻詰まりのアレルギー疾患(アレルギー性鼻炎)は、空気中に浮遊する花粉やハウスダストといった原因物質(アレルゲン)を吸い込むことで起こります。
日本人のアレルギー性鼻炎の原因の4割は、スギ花粉やヒノキ花粉などの花粉症であると言われており、花粉症の治療で鍼灸院を訪れる方も多くいらっしゃいます。

鍼灸では過剰に高まったアレルギー反応を抑制する効果や損傷した組織の回復を助ける効果があり、花粉症の起こり難い状態へとお身体を整えることができます。

今回はそんな花粉症について綴らせていただきます。

花粉症とは

花粉症は卵アレルギーや金属アレルギーと同じ、アレルギー性疾患でスギやヒノキと言った植物の花粉によって引き起こされます。

元来、身体には外部から侵入した異物(抗原)を排除する働きが備わっており、1度体内に侵入してきた抗原を記憶して再度体内に侵入してきた際に速やかに排除できるような仕組みを持っております。
花粉症(アレルギー反応)はウイルスなどの害がある抗原に比べて無害な異物に対しても過剰に反応してしまう状態を言います。

そのため、

  • 花粉(抗原)を取り込まないように注意を払う
  • 身体を守る免疫が過剰に反応しないように体調を整える

といったことが大切になります。

症状と原因

花粉症の代表的な症状として、

  • くしゃみ
  • 鼻水(サラサラとした水っぽい)
  • 鼻詰まり

の3つが挙げられます。

他にも、目の痒みや異物感、頭痛や倦怠感、鼻症状による集中力の低下など日常生活に大きな影響を及ぼす症状が挙げられます。

主な原因

空気中に浮遊する花粉が目や鼻に侵入して粘膜の細胞(マスト細胞)に付着する事でヒスタミンなどの生理活性物質が放出して神経や血管を刺激することで諸症状が発症します。

日本では約60種類の植物が花粉症を引き起こすと考えられており、その内7割がスギ花粉とも言われております。
そのためスギ花粉の飛び始めである年初から3月にピークを迎え、5月頃まで飛散する時期が一般的な花粉症シーズンと考えられておりますが、

  • ヒノキ:4〜6月に飛散
  • ブタクサやヨモギ:8〜10月に飛散

といった他の花粉が原因の場合には、辛い時期が異なるのも特徴的です。
また、ダニなどによって引き起こされる通年性のアレルギー性鼻炎と併発するケースもあり一年中症状に悩まされるという方も少なくありません。

都心部で増加する要因

  • 花粉と共に排気ガス中に含まれる微粒子を一緒に吸い込んでしまう
  • 路面がアスファルトであることで、土と比較して落ちた花粉が舞い上がり易い

などの要因も花粉症を悪化させるため、幹線道路の側などにお住まいの方は特に注意が必要になります。

治療方法

代表的な治療法は下記3つになります。

薬物療法

鼻水を抑える抗ヒスタミン薬、炎症を抑えるステロイド薬、鼻詰まりを抑えるロイコトリエン受容体拮抗薬などが使用されます。

アレルゲン免疫療法

減感作療法とも呼ばれ、原因物質(アレルゲン)を少量ずつ投与して身体に慣らすことで症状を和らげる治療法です。
治療期間を長く必要とするケースもあり根気が必要な治療法ですが、薬物療法で副反応が出てしまう方などにはお勧めです。

手術療法

鼻の粘膜表面にレーザーを当て、痛んだ部分を蒸散(固体を気体に変化)することでアレルギーの反応を抑える手術(下鼻甲介粘膜レーザー焼灼術)です。
薬物療法で症状が抑えられない場合などに考慮される治療法になります。

予防方法

花粉の飛散状況を確認(アレルゲンの回避)や環境整備が重要になります。

飛散状況の確認

花粉は雨上がりや気温が上昇する日中に多く飛散する傾向もあります。
最近ではインターネットなどで細かい花粉飛散状況を確認できますので、花粉との接触を少しでも減らせるように行動することも1つの対策になります。

アレルゲンの回避

頭髪には帽子、目や鼻にメガネやマスク、首にマフラーやスカーフなどを着用して花粉が直接付着することを防ぐことも効果的です。
また、帰宅時には玄関前で花粉を払い、うがい手洗いや洗顔を行うことも大切です。

生活リズムを整える

睡眠不足や不規則な食生活、ストレスは自律神経を乱します。
自律神経が乱れるとアレルギー反応が起こりやすく(過剰に)なります。
そのため、

  • 生活習慣の改善
  • 趣味などのリフレッシュ出来る時間作り
  • 鍼灸やマッサージによる定期的なケア

はとても大切になります。

鍼灸が効果的な理由

鍼灸には乱れてしまった自律神経を整える効果や損傷した組織を回復させる効果が期待出来ます。

自律神経の乱れは粘膜の細胞(マスト細胞)のヒスタミン(生理活性物質)が過剰に放出されることに繋がり、神経や血管を過剰に刺激することで症状を悪化させてしまいます。
そのため、自律神経を整えることは免疫系の作用を正常に保ち、過剰な反応を防いでくれるため、花粉(アレルゲン)が侵入してきてもアレルギー症状を起こし難くなります。

花粉症に鍼灸治療を用いた結果も多く報告されており、

  • 8割以上の症例で有意な変化を示し、鍼灸は有効な治療法の1つであると考えられる
  • 血管拡張性の鼻閉に灸が有効であった
  • 鍼灸治療を行った花粉症の対象郡は飛散の多い日も症状が安定しており、持続した治療を行うことで累積効果を認められた

などの様々な報告がされております。

花粉症を進行させないためにも

花粉の飛散状況を確認して接触を軽減するといった対策に加え、生活習慣の改善や鍼灸治療で自律神経の乱れ難い(免疫が過剰に反応しない)お身体づくりが花粉症を軽減していくうえで大切になります。

この記事の著者

中島 裕(Nakajima Yutaka)
中島 裕(Nakajima Yutaka)
『白金のかかりつけ鍼灸院』を目指し、日々鍼灸臨床に励んでおります。

鍼灸は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。

当室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。

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